
ボローニャブックフェアに行った話(その2)
前回投稿してからだいぶ時間があいてしまいましたが・・・ボローニャブックフェア当日の様子について書きたいと思います。前回の記事はこちら。
ボローニャブックフェア当日
この日は朝ごはんを何も買っていなかったので、ブックフェアに行く前に、泊まっているAirbnbの近くのスーパーに寄ることにしました。
朝はまだ若干肌寒かったような気がします(なにしろだいぶ前の話なので記憶があいまいです)。写真を見返してみると、天気があんまり良くなかったみたいです。せっかくのイタリアなのに・・・
スーパーに行く途中、藤の花や、名前はわからないけど鮮やかできれいな花がたくさんありました。イタリアはカラフルなイメージがあります。なんとなく。

スーパーには、とんでもなく大きいパプリカや(画像だと伝わらないけど)、いろんなフルーツがありました。旅行先でスーパーに行くの、現地の生活を垣間見られるのでけっこう好きです。

わたしはこのパンを買いました。

Sfogliatella(スフォリアテッラ)という貝殻の形の菓子パンで、パリパリの生地の中に柑橘系のリコッタチーズのクリームが入っています。昨年イタリアに行ったときに3回くらい食べました。おすすめです!パン売り場のおばさんが素敵な笑顔で接客してくれたのを覚えています。
スーパーを出て、ボローニャブックフェアへ。バスは激混みでした。
会場に到着
こちらが会場入り口。ボローニャブックフェアは、いつか行ってみたいなぁと憧れていたので、ついにほんとに自分の足で来たぞという感慨がありました。大人っていう感じがします。30手前になって言うことではないのですが。

午前中は、いつもお世話になっている出版社の方とお会いしました。いつもメールか電話でのやり取りなので、実際にお会いできてうれしかったです!これから新しい取り組みを始められるそうで、これから出版したい作品をとても真剣に選んでいらっしゃいました。
会場の写真を何枚か載せておきます。雰囲気がとてもよかったです。


わたしはいつも本屋などでもあまりじっくり見るタイプではなく、ぱっぱっぱ~と気になるものを探していたのですが、目を引くものって以外と少ないです。好みが偏っているのかな・・・そのなかで気になったものをいくつかご紹介します。
気になり絵本
くまさんの絵本。気になりポイントは、なんとなく・・・としか言えないのですが、たぶん色の組み合わせと緑の色合い、くまさんの表情だと思います。どこかで邦訳が出そうだなぁという印象。こういうものはすでに版権が取られていて、個人の翻訳者の入る隙はありません。

こちらの鳥の絵本は・・・なんですかね、鉛筆で描いた絵って好きなんですよね。この、素朴でかわいい感じとシンプルさが。

この絵本はシンプルにかわいいですよね。さあみんなでお出かけに行くぞ~という雰囲気。

これもくまさんですね。くまさん多いですね(くまさんはぜったいにひらがなで書きたい)。やっぱり鉛筆画が目を引くみたいです。細かく描き込まれたイラストは、以前訳したDena Seiferling(ディーナ・シーファリング)さんの絵本を思い出します。

これは色合いが良いですよね。パステル系で。これもたぶん鉛筆画かな?

これはボードブックですね、ほんとうにちっちゃい子向けの。フォントからイラストから、なにもかもかわいい。

こちらは今回一番いいなと思った本。シリーズもので3冊ありました。フォントやカラーもいいし、イラストがシンプルでいいですね。イラスト、デザイン、内容をぜんぶ好きになれる本ってなかなかないです。


以前ロンドンブックフェアも行きましたが、ボローニャブックフェアは展示にかなりこだわりが見えました。たとえば、こんなふうに本が吊り下げてあったり。

日本の作品もありました。

ピカチュウもいました。かわいい。ゴッホ美術館のですね。

キャンディーをくれたお姉さん
会場はとにかく大きくて、人がいっぱいで疲れます。途中ベンチで休憩してぼけっとしていたら、隣に座ってきたお姉さんが特大の笑顔でキャンディーをくれました。人のあたたかみ。よっぽど疲れてそうに見えたのかな。

セミナーに参加する
ブックフェアには各国の作品が集まっているわけで、当然ながら英語の作品は一部です。ドイツ語、フランス語、ノルウェー語、アラビア語、韓国語、などなど、わたしには読めない作品が大多数でした。
世の中にはこんなに素敵な作品がたくさんあるのに、わたしが普段理解できるものってほんとうに少ないんだな~と非常にもったいない気持ちになりました。だからこそ翻訳をしてくださる人たちはありがたいのです。みなさまありがとうございます。
ロンドンブックフェアと同様、セミナーがあちこちで開催されており、わたしはそのうちの1つを聞いてきました。
No language left behind, no book left behind. For a biodiversity in children’s literatureと題するセミナーで、マイナー言語の翻訳をしている翻訳者4名がお話をしてくださいました。
マイナー言語の保護と発展に翻訳は欠かせないわけで、なんでもかんでも英語に(から)翻訳して終わり、というのは危ないですよね。とはいえ日本で出版される外国作品というのはどうしても、英語からの翻訳ということになりがちで、ほかの言語の場合でも、メジャーな言語からの翻訳が多いわけですが・・・
日本の場合、英語から日本語への翻訳はまだまだマーケットが大きいと思いますが、読者数が少ないような言語の場合は翻訳者の生活も成り立たなくなるでしょうし、難しいです(まあ、日本語の文芸翻訳でもほぼ成り立っていない現状ではあります)。
そういう、翻訳者を守る取り組みについてはあまり光が当たらないわけですが、登壇者のうち1人の方がスライドでそのようなお話をしていらっしゃいました。
日本では、本の表紙に訳者の名前が載るのが一般的ですが、そうでない国は多いです。裏表紙にちっちゃく書かれていたりして(誰も見ていない)、訳者あとがきがないことも多いですし、「見えない」存在になっています。

これに加えて、下の画像にあるように、Low income, high skillsという、非常に直接的な・・・笑、でも事実ですよね。とくに文芸翻訳の場合は。収入があんまりなくても生活できて、かつ、技術を磨く時間的な余裕のある人ってなかなかいないと思うんですけど。宝くじを早急に当てる必要がありますね。

そして、No social securityと続きます。自営業ですからそのあたりもやっぱり厳しいですよね。
下の画像にあるMobility grantsというのは、今回のようにブックフェアに参加するときの費用だとか、翻訳に集中できるよう住居と生活費を提供するresidenciesとか、そういったものを指します。

そしてこのSample translation grantsも重要ですよね。よく仮訳をお願いされることは多いですが、仮訳を作ったり、レジュメ(作品のあらすじや注目ポイントをまとめた資料)を作ったりするのも時間はかかるので・・・

真面目な話はさておき、セミナーが終わって、疲れたので、会場で売っていたジェラートを食べました。「イタリアでジェラートを食べる」という目的が達成できて満足。

さよならブックフェア
会場を後にして、ボローニャ中央駅あたりに戻りました。これは、適当に入ったカフェで食べたフォカッチャ。適当に入ったけどおいしかったです。

ボローニャ中央駅の近くに咲いていたチューリップがかわいかったです。

あとは、特にやることもない・・・ということで、夜ごはん用にサンドイッチを買いました。

とんでもなく大きいです(画像だと伝わらない・・・)。これで9.9ユーロ。

宿泊先付近に着いて、Lidlというスーパーに行きました。イギリスでよく行くスーパーなので、イタリア版はどうなのか気になって。

ハムの種類がやたらと多くて、さすがイタリアだな~と思いました。店内のレイアウトはだいたいイギリスのと同じで、ベーカリーコーナーもちゃんとありました。

それでは、その3に続きます~

