
ポーランドに行った話(その3)
その2を書いてから、なんだかんだお仕事がいろいろと舞い込み、そして編み物にはまり、その3は忘却の彼方へ消え去ってしまったのでした。
わたしは今、イギリスへの旅の途中でございます。というわけで、いろいろな待ち時間に、続きを書いていきたいと思います。
書いていなかった理由はもうひとつありまして・・・あとでその理由を書きますね。
さて!
無事にショパンの生家にたどり着いたわたしは、達成感と高揚感に包まれながら門をくぐりました。

チケットはいくらだったか覚えていませんが、そんなに高くはなかったはずです。

史上稀に見る円安の今でも、ポーランドは日本と同じくらいの金銭感覚で旅行できたような気がします。イギリスになると、日本の感覚の倍ですね〜あはは。
なんとかしてほしいものです、総理!真剣な話。
ショパンの生家に入ると、ピアノの音が早速聞こえてきました。スピーカーから流れているのかな?と思ったら、修学旅行中の小学生のために生演奏していたようです。

期間限定か、曜日限定で生演奏をしているらしいというのは知っていましたが、修学旅行生に便乗して少しだけ聴けました。
無計画旅行に訪れたラッキーです。
ちなみに生家の中にあるグランドピアノをピアニストが演奏し、観客はお庭で聴くというスタイル。いちいちおしゃれですね。
ということで生家の中に入りましたが、小学生でごった返しており、わたしは完全にアウェーの存在となりました。



生家とは言っても、この邸宅自体は復元です。しかもショパンはこの場所に生まれたものの、生後7ヶ月くらいで一家はワルシャワに引っ越してしまったので、ほんとにただ生まれただけらしいのです。
とはいえ邸宅のなかはショパンゆかりの品がいろいろとありまして、ピアノはもちろん、楽譜や彫像、チェストやソファなどなどが展示されていました。ショパンが実際に使っていたわけではないとかなんとか(うろ覚え)。
写真を載せておきますね。








わたしは邸宅よりも何よりも、庭園のあまりの美しさにときめきました。



まるで絵画のようです。
新緑と、お花が咲き乱れていて。やはり5月6月あたりは、生命力に満ち溢れていて好きですね。いい時期に訪ねたものです。


これはかっこつけたショパンの像(リスペクトを込めて)

わたしは昔から、緑色がなぜか好きなんですよね。緑にもいろいろありますが、若葉の生命力あふれる色が特に。
大変のどかな風景に癒されます。蓮なんか浮かんでいたりして、まさにヨーロッパの絵画の世界。



と、ここである出来事が。
例の修学旅行生のひとりが、わたしにスマホのカメラを向けていたんですね。
明らかに友好的ではなく、にやにやとした表情で。まるで、めずらしい動物でも見ているかのように。
その小学生の意図はわかりません。
ただ、わたしが嫌な気持ちになったのは事実です。
わたしはイギリスやオーストラリアで、そしてあとでも書きますが、ポーランドでも「ニーハオ」だとか「チャイナ」だとか言われたことは何度もあります。
それが無知のかたまりであって、ただ挨拶しただけなのか、それとも明らかな悪意や嘲笑を含んでいるのかは、目を見ればわかります。
だいたいの人がにやにやしていますから。
見慣れない見た目だから醜いと思ったのかもしれませんし、髪の毛が黒いなんて、肌の色が違うなんて、こんなの見たことない!という無邪気な「発見」であったのかもしれません。
こういった出来事に遭遇すると、その人に対してさまざまなことを想像します。
ふだんアジア系の人を見かける機会がほとんどないのかな、見知らぬ人を撮ってはいけないと言われたことはないのかな、相手がどんな気持ちになるか想像しないのかな。
わたしはその小学生のそばに近寄って、聞きたくなりました。どんな意図があったのか。
差別というものは、体験してみないと理解することはできません。
突き詰めて考えれば、相手のことをひとりの人間として尊重しているか?ということなのだと思います。
ひとりでがんばってポーランドに来て、その2でも書いているとおり、さまざまハードルを乗り越えてたどり着いたのに。
わたしが、ひとりの人間として尊重されていない。大切にされていない。
悲しかったです。
尊重されるべき存在である「わたし」の存在が、理不尽に踏みつけられることで怒りや悲しみが生まれるのです。
いつかその人が、差別とは何であるのか、わかってくれることを願います。
こんな嫌な話をブログに書きたくなかったので、更新が遅れてしまいました。ブログを読んでくださった方が嫌な記憶を思い出したり、暗い気持ちになってしまうのは本意ではないので。わたしは、読んでくれた人がハッピーになってほしいのです。
でも、この話をすっ飛ばして、ただポーランド楽しかったよ!とお伝えするだけのブログにするのも嘘になりますから。
と、いうことで、ショパンの生家の話はおしまい!(急なテンションの変わりよう)
嫌なこともありましたが、庭園は絵画の世界に潜り込んだかのような美しさですし、ローカルのバスに乗る機会もなかなかないですからおすすめです。まあ、その2で書いたショパンパスやツアーを予約して行くのが安牌ですが・・・
さてさて、次のバスの時間まで、1時間半近くありました。その2でも書いたとおり、ほんとうに何もない田舎町ですので、ぶらぶらするにも限界があり・・・
お土産物屋さんなんかがあったり。

カフェは閉まっていました。Google マップでは営業中だったのですが。
・・・あまりにも暇でした。
そして帰りの最大の懸念点は、Motobussが来るのか?そして、見分けられるか?ということ。

いかにも「バス」という見た目をしていないので、目を凝らしてそれっぽいバスが近づいてきたら手を振らなければならないという、、、笑
わたしはこのバス停のベンチに座って時間を潰し、クライアントからのメールにSorry I’m unavailableなどと返信しながら、時刻まで待つことにしました。
バスは1つ先のソハチェフ発ですから、ソハチェフを出てから10分後くらいにこちらへ着くはずなのです。
これ、バス来なかったらどうしよう?と思いながら、ちょっとした冒険にわくわくしていました。このときの景色はきっといつまでも覚えているはず。

時間が迫ると道の端に仁王立ちして、それっぽいバスがやってくるのを待ちました。
来ない・・・・
時間が過ぎても来ない・・・
「ぽい」バスは結構やってくるので、うっかり止めそうになりながら、目を凝らし続けました。しかも視力が悪いもので、近くに来るまでよくわからないというおまけ付き。一時たりとも気が抜けません。
すると、赤いバスがやってきました!
フロントガラスに、ポーランド語で「Warsaw」のような文字が書かれた紙が見えたので、急いでわたしはバスを止めました。
運転手に念のためAre you going to Warsaw?と英語で(申し訳ない)聞き、運賃を払って乗り込みました。よかった!これで心置きなく、うつくしい田舎町の風景を見ながら帰ることができます。やったね!



こうして無事に、わたしはワルシャワに戻ることができたのでした。
その4に続きます!

