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JTF翻訳祭に行った話(その3)

さて、JTF翻訳祭2日目。

まずは、井口耕ニさんの公演。スティーブジョブズ関連のビジネス系書籍を数多く翻訳していらっしゃる方です。


翻訳者として生き残るための、とても実務的かつ現実的な笑お話をしてくださいました。自分の翻訳を欲しい、とクライアントに思わせなければダメだと。

生計を立てるために、などという自分の「切望度」が高ければ高いほど条件は悪くなっていく、というのは確かに頷けます。

訳書を出すのが夢だから、自分の名前を表紙に載せてもらうチャンスだから、といって悪い条件でお仕事を引き受けるのは、自分にとっても、出版社さんにとっても、そしてもちろん読者の方にとっても良くないとわたしは思います。

特に書籍の翻訳は人気で、やりたい!という方はごまんといますから、、、でも長い目で見て、本のフェアトレードをしていただかないと、誰にとっても良い未来にはならないと思います。

お腹が空いたので、近江町市場へ。金沢の有名な観光地!



なんだかとても贅沢な海鮮丼をいただいてしまいました。でも、ふだんお仕事がんばっているし、いいのです。

北陸といえばのどぐろ。


そしてお土産に、市場の近くで偶然発見した加賀藩御用達菓子司の森八さんで、栗のもなかも買いました。栗の形を模した、ころりんとしたかわいいフォルム。



次の講演は、越前敏弥さん。小説を数多く訳していらっしゃる方です。ここでもわたしは質問をしたのですが、あとでオンデマンド配信を聞き、自分の声のあまりの子どもっぽさと聞き取りづらさに、わりと真面目に引いてしまいました。

・・・お世話になっているみなさん、いつもすみません・・・

小説の登場人物の喋り方はどのように訳し分けていらっしゃるのか、ということを質問したのですが、会話文は、女性だからといって「わね」などの語尾を多用すると違和感があったりしますよね。

わたしは『夜のふたりの魂』という小説が初めての翻訳作品なのですが、おじいさんとおばあさんの恋愛物語なんですね。


訳していた当時わたしは22歳で、こんな小娘がこの小説を訳していいのか・・・と思いながら、会話文には苦心した記憶があります。

わたしの苦心の跡にご興味があるという奇特な方は、図書館におそらく置いてあると思いますのでどうぞお手に取ってみてください。笑

訳者の年齢と小説の内容は、どうなんでしょうね、どれくらい翻訳に影響するのでしょうか。

わたしは『夜のふたりの魂』のシンプルな文体と、それによって醸し出されるあたたかで静かな雰囲気に惹かれて翻訳をしたのでした。

初めて読んだときは、あまりのシンプルさに驚いたものです。いい意味での飾り気のなさで、ただただ心にまっすぐ伝わってくる言葉の数々。

年齢を重ねて、結婚、子育て、配偶者との死別などを経験したふたりのお話は、22歳の小娘には実感としてはわからないわけですけれども笑、それでも登場人物のアディーが語る以下のような言葉はとても美しいと思いました。

夜のふたりの魂』(河出書房新社)より

さて。なんだか疲れてしまったので、ホテルに戻り3時間ほど寝ました。ひとり旅は気楽なものです。

夜に目覚め、近くのシフクノオトというお店へ。元気な若い店員さんたちと、ミスチルが大好きな店長さんがお迎えしてくださいました。


ミスチル好きの方がよく訪れるそうですが、わたしはたまたま見つけたのでまったく知らず。

カウンターに案内され、今日は出張なんです〜などと半分嘘を言い(出張という響きにあこがれているもので。繰り返しますが自腹です)、おいしい日本酒とお寿司をいただきました。

まんなかのミニ寿司4貫は、サービスしてくださったもの。ありがとうございます❤️


ホテルに戻ると、酔っ払いのままピラティスをやりつつ、NHKでやっていたドキュメンタリーを2つ連続で見ました。移動わらびもち屋さんの心温まるお話と、山奥でくらしていた「タイマグラばあちゃん」の再放送。

おとうふや味噌を手作りしたり、畑仕事をしたり、亡くなったおじいさんが残してくれた薪を大事に使ったり・・・山奥で毎日ひとり懸命に生きるおばあちゃんに釘付けとなり、遅い時間でしたが最後まで観てしまいました。

おとうふ、手作りしてみたくなりました。

翌日はひがし茶屋街へ。むかし訪れたことのある、こちらも有名な観光地。



伝統工芸品の数々にときめきが止まりませんでした。九谷焼のお店が多かったです。

わたしは縁煌(えにしら)さんで、こちらのピアスを買いました。



岸田志穂さんという作家さんの、刺繍のピアス。ボタンみたいでかわいくて、お気に入りになりました。わたしはこまごまといろいろなアクセサリーを持っていますが、そのなかでも一軍のピアスです。

細かな刺繍と、ふんわりとした色合いにときめきました。

わたし自身も編み物などをするので、手作りのあたたかさが大好きなんですね。

そして、九谷焼の小皿。いつもこれに朝ごはんのナッツをのせて、朝に活躍してもらっています。


こちらは、久りゅう東山さんでお友達のために買った、九谷焼作家・稲積佳谷(いなずみかこく)さん作の「伝説の怪獣」という名の小皿。自分用にも買っておけばよかったです。名前に惹かれたのもありますが、なんだか不思議でかわいいものを、きっと奴は気に入ってくれるだろうと思いました。



そして家族のためにおそろいの湯呑みを。


ときめきで胸がいっぱいになったので、そしてこれ以上散財しないためにも笑、わたしは金沢駅に戻り、のどぐろの駅弁を買って帰途に着いたのでした。


おしまい!